2022.01.25

【セミナー開催レポート】2021年12月16日 (木) 開催 知らないと危険!火災被害から工場を守る防災のコツを事例とともに解説

Meeit.bizが送るオンラインセミナー。今回のテーマは「知らないと危険! 火災被害から工場を守る防災のコツを事例とともに解説」。タイ工業団地公社アマタシティチョンブリの事務所所長やアマタファシリティサービスのシニアセクションマネージャーにご登壇いただき、具体的な事例をもとに工場火災を防ぐためにはどのような準備が必要なのかを解説いただきました。ぜひ明日からの経営にご活用ください。

65の工業団地を管轄するIEAT

まず、司会のガンタトーン氏がゲストのお二人を紹介しました。タイ工業団地公社アマタシティチョンブリの事務所所長であるウィチュダー・シーマーカジョンさんと、AFS(アマタファシリティサービス)のシニアセクションマネージャーをつとめるトッサポーン・ミージャイブンさんです。

お二人が簡単に自己紹介を行った後、最初にウィチュダーさんがタイ工業団地公社(IEAT=Industrial Estate Authority of Thailand)の概要やアマタ工業団地についての基調講演を行いました。

「現在、IEATが管轄している工業団地は16県に65箇所あります。IEAT自ら運営している工業団地は15箇所。アマタ工業団地のように民間が運営している工業団地は50箇所。地域別では、工業用地の開発が進んでいる東部には41の工業団地があります。IEATでは工業団地の皆さんの安全を図り、周囲の住民や地域に対しても説明責任を果たしています」

次に、アマタ工業団地の概要に話が移ります。

アマタ工業団地は1989年に開設し、敷地面積は2万2000ライに及びます。ここで創業している工場は700社。そのうち、62%が日本の会社で占められ、自働車部品や金属プラスチック加工など製造業の比率も非常に高くなっています。アマタ工業団地は、タイに進出している日本企業にとって代表的な工業団地であることは間違いありません。

安全に関する法律は5つある

ウィチュダーさんは続いて、安全に関する法律についての説明します。

「安全に関する法律は5つあります。1つ目は、働く環境に関するもの。2つ目はIEATに関する法律。3つ目が建物に関する法律です。4つ目は工場に関する法律で、最後が危険物に関する法律です。法律が違えば、管轄の当局も異なります。この5つの法律はみなさんが必ず知らなければならない内容です」

1番目の働く環境に関する法律は、いってみれば従業員などを守る法律です。毎年1回の避難訓練や防災訓練の実施、危険物化学薬品のリストや火災が起きたときの計画の作成などを定めています。さらに、化学薬品の濃度や空気の中の濃度の計測・記録、年1回の電気関連設備のチェック、ボイラー回りに危険性の高いものが置かれていないかどうかの確認も行わなればなりません。

2つ目のIEATに関する法律では、危険物リストを作り、PSM(process safety management)や外部からのチェックを受け、放水消化の設備を整備することなどが定められています。中でも、指定された12の業種は特別リスクが高いため特別審査を受けなければなりません。

3番めの建物に関する法律が定めているのは、火災の対策に関して。消化器の設置や強度の審査、空気の流れや換気、緊急時の出口などに関する内容です。

最後は法律危険物に関する法律で、4つの種類の危険物が定められています。該当する工場はリストを作って管理する必要があります。

ウィチュダーさんは言います。

「担当者が確認していると思いますが、IEATとアマタ工業団地が一緒に安全を守るための2つのプランを実施しています。そこでは火災や事件、交通事故、洪水など6つの項目を設けていますが、これらの項目に関して事前の対策を練ることが必要です。また、デモ隊や軍事関連で何らかの事件が発生したときの安全対策も不可欠です」

ちなみに、火災はレベル1〜3の3段階に分けられています。自社で対策できるものはレベル1,自社の手に負えない火災はレベル2。自治体の助けが必要な火災はレベル3です。

「火災が起きたときにはすぐにアマタやIEATに連絡を入れてほしいと思います。皆さんの安全を守るためIEATでは日頃からアマタと連携して計画を練っています。IEATが安全を第一にに考えて行動していることをぜひ知っておいてほしいですね」

火災はこんな風に起きている

次に登場したのが、AFSのシニアセクションマネージャーであるトッサポーンさんです。

「乾燥しやすい12月から翌年4月は火災が起きやすい季節です。あまり知られていませんが、毎月2回ほど火事が発生しています。大きなニュースにならないのは連絡があるとすぐに対策をしているから。日々の努力の結果です。ここでは会社名を伏せながらいろいろなケースを紹介していきましょう」

トッサポーンさんが事例1として取り上げたのが、長期連休中に起きた火災のケースです。

長期連休に入ると、工場内には人がいないため、火災が起きても気づかれることがありません。非常に危険な時期といえます。同じように、人気が少なくなる夜の時間帯も危険性が高いといいます。

「連休中に起きたある火災の場合、発生時間は夜中の1時でした。電源部分のメンテナンスの不備により化学物質が反応して燃え始めたんですね。夜中ということもあり、警備員も気がつかず、結果的に建物の3分の1が被害にあいました。ただし、その後はきっちりと研修も受け、整備を行ってもらいました。火災後、2年経ちますが、再発はありません。一時部分的に営業停止になったものの、現在はきちんと営業ができています」

次のケースとしてトッサポーンさんは、勤務時間中の不注意によって火災が発生したケースを取り上げました。化学物質の入れ替え時に着火し火災が発生。電気を逃すための電線グラウンドを設置していなかったため、着火してしまったのが原因でした。残念ながら死者を出してしまいましたが、緊急対策の部隊がすぐに出動したので被害はかなり抑えられたケースです。

「必要なのは訓練をしっかりと行うこと。そして知識を身につけることが命を守ることにつながります」とトッサポーンさんは強調します。

3つめの事例として、トッサポーンさんが紹介したのが、警報や防災のシステムを導入し、なおかつオペレーションフローが確立している会社のケースです。

「何か異変があれば、警報信号がバンコク本社に行き、そこから消防局に連絡が入り、さらにチョンブリを経由して、アマタ工業団地に連絡が来るフローです。このようにステップがきっちりと定められているのは素晴らしいことですが、何よりも大事なのは工場の人が知識をちゃんと持つこと。そのために研修を受けてもらっています。研修により反復練習を行うことで慌てずに対処できるようになるんですね。これはスタッフだけでなく経営者にとっても同じです。みな同様の同じ知識を持ってもらいたいと思います。準備は必須です」

アマタ工業団地にはコマンドセンターが設けられています。これは、指示を出す専門の部署。センサーを取り付けることで、コマンドセンターが早く対応できるのです。

「これで精度は90%以上になりました。残りの10%は取り付ける場所や環境に影響されるので、この10%をクリアすることが課題ですね。アマタとしても日頃からの取り組みで精度をさらに上げていきます」

火災の種類と原因を知ろう

次に20年以上の経験を持つ防災担当者が登壇し、実際の火災の種類と原因について解説しました。

「火災の種類は主に4つに分けられます。1つ目は木材や紙、布など燃えやすいものです。二番目は石油類や油。三番目は電流が流れているところ。最後が金属による火災です。金属自身に火が付いて燃えてしまうことがあるんですね。火を消すといっても水ですべて消火できるわけではありません。自分の工場に何が置いてあり、何がリスクなのか、消すときには何を使うのかをあらかじめ知っておく必要があります」

一番目の木材や布などが燃えた場合には水で消火できますが、石油類や油であれば別の化学薬品を用意しなければなりません。電流が流れているところで火災が起きた場合には、火災の原因になる配線や電気を把握する必要があります。金属火災は、二酸化炭素を使い、乾燥した化学薬品を使用します。このように、火災の種類を把握することは防災の前提なのです。

では、火災はどのような原因で起きているのでしょうか。担当者は語ります。

「24時間機械が稼働している工場が多いので、摩擦で火が起きるケースが多いですね。次がヒューマンエラー。さきほど紹介された化学薬品の入れ替え時のようなケースです。後は、保管に不備があった場合。これも大きな要因の一つです。化学物質の保管に問題があって火災が起きると規模が大きくなります」

火災を予防するためには、機械の定期的なメンテナンスだけではなく、保管している物質に関する正しい知識が求められるのです。

そのために必要なのは研修だと担当者は語ります。

「可能な限り、実際の消防隊といっしょにシミュレーションをしてほしいですね。研修を実施している自治体もありますが、アマタの消防隊が入ると保管場所やレイアウトを事前に把握できるので、なにか起きたときに対処しやすいんです。また、顔見知りになっておくことも大切ですね。私たちが工場内に入って問題点を確認することができるので、わからないことがあればぜひ聞いてみてください。アマタ工業団地では万が一に備えて、年末年始やソンクランの連休中の連絡先や予定、化学薬品の内容や保管方法なども確認しています。保管されている化学薬品が変更されることも多いと思うので、年に2回の協力をお願いしています」

工業団地内なら専任チームが10分で駆けつける

最後に、アマタ工業団地を守っているセーフティアンドセキュリティチームの紹介がありました。このチームは工業団地の安全を守る部署。週7日24時間稼働し、研修訓練を行っています。KPIは10分。工業団地内のどこで火災が起きてもセーフティアンドセキュリティチームは10分以内に現場に到着しています。

チームを構成しているのは10年以上の防災経験を持つメンバーです。

「経験年数は非常に重要です。私たちはメンバーに研修もたくさん受けてもらっています。工場の火災は住宅火災とまったく次元が違います。知識を常にアップデートするために研修が欠かせないのです」

消防車は、大型水槽車3台と科学消防ポンプを備えた消防車5台。ISO9000、ISO14000、ISO45000の認証を取得した設備を導入し、3分以内の水の補給や24時間緊急対応を可能にしています。

「設備が整っているとより早く対応できます。消防活動用のスーツも、すべての火災の種類に合わせて備えています。これらは消防隊の命や安全を守る設備や備品でもあるんです。またアマタ工業団地では、化学薬品の火災が起きたときに必要なオレンジ色のスーツも導入しています。コストがかかるため、チョンブリ県でこのスーツを持っているのは数箇所にすぎません。今後もAIなどを駆使して、カメラの分析などの精度を上げていきたいですね。どの工場がどんな化学薬品を持っているかを把握するために、年2回、アンケートも実施しています。防災にはみなさんの情報が欠かせません。ぜひ連携してやっていきましょう。防災は法律が5つもからんでいるの複雑です。不安な方はAFSで研修やサポートをしているので気軽に相談してみてください」

アマタ工業団地ではAFSと手を組んで警備員のネットワーク化を図り、各工場のレイアウトも事前把握しています。何がどこに保管されているのかを把握していれば、有事の際にスピーディに動けます。また、研修を行う講師も認定を受けている経験豊富な人ばかり。こうした常日頃からの取り組みが防災効果を高めているのです。

防災に必要なのは、「法律にあるから仕方がなく」ではなく、自ら率先して行うこと。それが被害を最小限に抑えることにつながります。自分たちのために研修を重ね、日頃から知識を蓄積しておくことの必要性を実感できたセミナーでした。

これからも、皆さまのご意見やご希望を踏まえて、さらに充実した内容のウェビナーを企画していきます。今後のMeeit.bizの取り組みにぜひご期待ください。

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