2020.08.06

【セミナー開催レポート】2020年8月6日開催、アフターコロナを見据えた日タイ コ・リレーション革新4つのポイント

Meeit.bizが送る日本人向けセミナー。今回のテーマは「アフターコロナを見据えた日タイ コ・リレーション革新4つのポイント」です。アフター・コロナを見据えて、いま企業が革新を図るためのポイントとは何なのでしょう。R&Dプロセスや産業IoT分野で豊富な知見を持つ講師がタイ現地企業及びグローバル企業の事例を交えながら解説します。

 

|企画・設計・営業をすべてタイ/ASEANで回そう

今回、ご登壇いただいたのはお二人の講師。R&Dプロセス革新やプロジェクトマネジメントを専門に長くASEANビジネスに従事しているみらい株式会社のCOO、野元伸一郎氏と、産業IoT分野で国内外の企業との顧客協創に携わり、産業向けデジタルソリューションの事業開発をリードする株式会社日立製作所のシニアストラテジストの川本真一氏です。

最初に登壇した野元氏はまず、アフター・コロナを見据えてタイ/ASEANの現状を理解する必要性を強調し、自動車や電機、機械など業種別の動向を紹介しました。その上で、タイやASEANの拠点の将来像をこう語ります。

「単なる製造拠点として見るのではなく、ビジネス拠点としてASEANを考えていく必要があります。そのためには企画・設計・営業をすべて現地で回さないといけない。そこで必要なのはマネジメントができるローカル人材です。日本人は現地の戦略参謀の役割を果たし、ローカル人材を育成することです。」

また、野元氏はASEANでビジネスをするにあたってはASEAN経済共同体(AEC)の理解が欠かせないと語ります。各国の外資優遇制度/特別経済区域/工業団地等を活用して関税を回避しているApple, Inc.の例や、矢崎総業株式会社、味の素株式会社での事例を紐解きながらAECの有効活用の必要性を強調します。

最後にまとめとして、野元氏は「日タイ コ・リレーションの4つのポイント」として、①ミッション革新、②データに基づいたカイゼン、③BCP/SCM改革、④モノ・人・技術のシェアリングを挙げました。

「日本では異文化教育が十分に行き渡っていないので、ダイバーシティの理解が不足しています。①のミッション革新としては、まずジョブディスクリプションを明確化し、AECを意識したロードマップを作ってほしい。ローカルのマネージャー育成のためにはコーチングも欠かせません。②については、デジタルデータでプロセスをつなぎ標準化・自動化を図ることで効率を上げる、効果的にIoT/ICTツールを導入することが重要です。デジタルデータが扱える人材育成も急務ですね。③については、BCPの対象には感染症や都市ロックダウンだけでなく、SCMやロジスティクス、設備関連も含まれることを理解した上で、平常時からBCPを周到に準備しておきたい。工業団地入居企業はこれまで直接的なビジネス要素の横展開をしてきませんでしたが、④で挙げたように今後は積極的にシェアリングを進めた方がいいでしょう。総務・経理・購買から、人材受入・集合教育、生産技術/IoT導入、調達、物流システム、倉庫、共同購買、共同配送、MaaS、さらには人材・原材料・設備・工程の貸し借りやシェアリングも視野に入れていくことが必要です。」

最後に野元氏は、日本人の戦うエリアはWhatでなく、Howの分野にあり、戦略の立案とそのための情報収集を強化し、製品だけでなく、技術とサービスにも注力することの重要性を語りました。

 

|現場の実績データを加工・集計し可視化して、KKD(勘、経験、度胸)を脱しよう

次に登壇した川本氏は、産業IoTソリューションビジネスを数多く手掛けてきた経験を通してアフター・コロナのポイントを3つ挙げます。

一つは、ミスコミュニケーションの削減、二つ目はデータに基づくカイゼン活動による生産性の向上、三つ目は調達業務の精度の向上です。

「ミスコミュニケーションを削減するには、ファクトに基づいたコミュニケーションを図ること。生産計画と実績を比較し、製造リードタイムや設備稼働率などのKPIを確認することが重要です。これにより、相互の信頼関係も深まり、適正評価によりモチベーションも向上します。また社外からアクセス可能な可視化システムを整備し、リモートワークを推進することも必須でしょう。弊社では製造現場からカメラやRFID、各種センサーを用いてデータを収集し、クラウド上で共有しています。これにより、管理者や技術者は、生産状況を遠隔からでもほぼリアルタイムで確認できるようになりました。「3密」を避けながら生産を維持するためには不可欠の取り組みです。」

二番目のポイントである「データに基づくカイゼン活動」を進める上で、壁となるのがKKD(勘、経験、度胸)頼みの対応です。これらを放置したままでは生産性の向上は図れません。川本氏は次のような方法を提言します。

「現場の実績データを加工・集計し、製造リードタイムやべき動率などのKPIを、製品視点ラインや工程ごとに可視化して根本原因を特定することです。」

また、三番目のポイントである「調達業務の精度向上」に関しては、川本氏は次のように語ります。

「バイヤーとサプライヤーの間で受発注や納期に関する情報をデータでやり取りし(EDI)、一元管理した上で、受発注業務のプロセスを標準化するのが効果的。これにより、作業ミスやリードタイムを減らし、見落としや情報伝達ミスによる納期遅延を防ぐことができます。実際に、ある電機電子部品メーカーの中国法人では、工場側バイヤーの作業量が33%低減し、発注や納期管理に関わる作業時間も738時間/月から243時間/月に減少しました。」

現場のオペレーションやサプライチェーンは複雑化・カオス化し、目先の納期管理に追われるあまり、原価低減やソーシング活動、計画最適化といった本来優先すべき取り組みに手が回らないという事態を招いています。現状を可視化し、調達EDIシステムを有効活用することは単なる生産性向上の手段ではありません。アフター・コロナ時代の生存策そのものなのです。

|5つの質問への回答

お二人のお話が終わった後、参加者からは以下のような質問が飛び出しました。

一つは、リモートワークを推進する上でのクラウドの活用に関してです。はたしてクラウドのみでいいのか、オンプレも必要ではないのかという質問に対して、川本氏は「それぞれにメリットがありデメリットがあります。現状や用途に応じた使い分けがいい。私たちも両方のサービスを提供しています」と回答しました。

次の質問は、具体的なお客様事例を知りたいというもの。川本氏によれば、自動車や電車などの輸送機器、素材、電子機器等、幅広い業種ですでに導入実績があるとのこと。「4Mデータ(huMan, Machine, Material, Method)を収集することから、組み立て加工などにも向いていますが、マシンデータを可視化、分析する機能は、マシン中心のアルミ鋳造メーカーやオイル&ガス分野でもお使いいただいています」

三番目の質問は、「自宅や外出先でも工場にいる人と同じ情報を見れるとのことだが、その情報をどう活用するのか」という内容でした。回答は「双方で同じデータを見て、判断することが重要」。情報共有は、同僚同士のほか、上司と部下の関係でも行われます。最終的な判断は上司に仰ぐことが多いですが、現場を良く知る人と同じデータを見ながら、一緒に最適な方策を意思決定していくことの意義は大きいです。
四番目の質問は、工場からデータを収集するときの方法を知りたいというお尋ねでした。川本氏は言います。

「マシンから収集することも可能ですが、スマートフォンとQRコードを利用してデータを収集する機能もあります。これは、デジタルデータの価値を現場の皆さんに素早く実感してもらえる方法ですね」

最後の質問である「日立のサービスはどういった企業に向いているものか」に対して、川本氏は次のように回答しました。

「アプリケーションで使うデータは決まっているため、すぐに始めていただけます。先進的なAIや Machine Learningを扱いたいというよりは、まずはデータを初めて収集、活用してカイゼン活動を加速したいという方におすすめです」

さて、いかがでしたでしょうか。アフター・コロナを視野に入れた取り組み推進はすべての企業の必須命題です。今回のセミナー内容を、自社がいまできること、なすべきことを把握し実践するヒントとしてご活用ください。

これからも、皆さまのご意見やご希望を踏まえて、さらに充実した内容のウェビナーを企画していきます。今後のMeeit.bizの取り組みにぜひご期待ください。

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