2021.07.22

【セミナー開催レポート】2021年6月29日(火)開催 タイIoT協会会長が語るタイのIoT最新事情 タイ企業との協業を目指しませんか?

Meeit.bizが送るセミナー。今回は、タイITO協会の会長、Niki Mekmok氏をお招きして、タイにおけるIoT事情や実際の事例についてお話いただきました。加速する産業界のIoT化に対して日本企業はどのように向き合い、チャンスを切り開いていくべきなのか。示唆に富んだMekmok氏のお話をぜひ経営にご活用ください。

■4つの目的を掲げて設立されたタイIoT協会

タイIoT協会が設立されたのは3年前。Mekmok氏は協会設立の目的や活動内容についてこう語ります。

4つの目的を掲げて設立されたタイIoT協会

「設立の目的は4つあります。一つはアウェアネス。IoTへの認知度を高めることです。2つ目は、より多くの知識や情報を提供し、専門性を高め、専門家を育成すること。3つ目の目的はアライアンスです。要するにネットワークですね。さまざまな会社が情報交換を行い、産学官の連携を進めるのが狙いです。4つ目はユーザビリティ。成功事例をたくさんつくって紹介することにあります。ロードマップでいうと、現在は第2フェーズ。まずコーポレーションを強化してネットワークを広めることが優先事項です。今年から来年にかけてはEXPOの開催も計画しています。団体としてガイドラインの制作も検討しているところです」

現在、タイIoT協会に加盟している企業は120社。すべてタイの企業です。バリューチェーンに関与する多種多様な企業で構成され、そのうち11社の代表11名が役員をつとめています。企業ばかりではなく、大学の先生や学生といった個人会員(会費は不要)も加盟できるのは、広く深くIoTの啓蒙を図っている同協会らしいスタンスといえるでしょう。

具体的にどのような活動を行っているのでしょうか。Mekmok氏は言います。

「例えば、気温や体温を測る顔認証の装置を寄付するなど、役所の担当部署と連携して寄付活動を展開しています。いろいろな学会からの招待を受けて講師として登壇することも多いですね。タイの商務省といっしょに、先端技術についていけない中小企業に対して技術の使い方などを指導し、IoTの技術者育成も図っています。また、学校と連携する機会も多々ありますよ。学部でIoTに関するカリキュラムの調整なども行っていますし、全国の20箇所の大学とMOU(Memorandum of Understanding=了承覚書)を結び、ネットワークも広げています」

毎月会合を設け、ゲストスピーカーを2、3名招待し、専門性の高い話を聞く機会の創出にも余念がありません。さらに、政治家とのネットワークにも力を入れています。

興味深い例としては、最近、台湾系の在タイ企業がタイの中小企業とつながりをもつために、DIP(工業産業局)経由で、200万バーツほどの予算を使い、可能性のありそうな中小企業に支援を行ったそうです。大きくない投資でタイの会社とパイプラインを作ることに成功した好例でしょう。

「現在、ヨーロッパやアメリカ、台湾などの在タイの企業には加盟していただいていますが、いまのところ、日本企業の加盟はゼロ。過去にJETROやスタートアップ企業の訪問はありましたし、まずは毎月の会合の場で日本の企業に登壇いただきたいですね。タイの業界団体と連携する良い機会になると思います」

■進むタイのスマートシティ化

では、会員企業はIoTをどのように活用しているのでしょうか。Mekmo氏は具体的な事例を紹介します。まず最初に取り上げたのは、Mekmok氏の会社であるシナジーテクノロジー社の事例です。

進むタイのスマートシティ化

「バンコクの川から農作地に水を供給する水路の水位情報を随時クラウドにあげ、担当者がアプリでデータを確認できる『リモートゲートコントロールシステム』を手掛けています。農作物と一口に言っても、水を必要とする農作物と必要としない農作物があるので、それぞれの適性に合わせてダムを操作する必要があるんですね。以前は、職員が現場に行き、水の状況を目視した上で水門をコントロールしていましたが、いまは携帯のアプリを使って水位をモニタリングし、水門を操作できるようになりました。ユーザーインターフェースには水門の絵を使うなど、使いやすさにも力を入れています」

タイのMDES(デジタル経済社会省)では現在、DIVAという専門組織を設置してスマートシティ化を推進しています。同社のシステムもスマートシティ化に向けての取り組みの一環でした。

「当協会ではタイ政府と連携し、スマートシティとして認証を受けるための申請業務などもサポートしています。日本の企業でスマートシティ関連のソリューションを提供したいというところがあれば、パートナーシップを組むこともできます。ハード・ソフトどちらでも構いませんが、日本の製品は品質が高いです。アプリケーションや用途、メンテナンス、価格が適切であればぜひタイで提供していきたいですね」

■ユーザーに合わせてソリューションを提供する

2つ目の事例として、Mekmok氏はモトローラの関連会社が作っている監視カメラのシステムを取り上げました。AIを使ったこの画像認識のシステムはタイの代理店が販売しています。

ユーザーに合わせてソリューションを提供する

「例えば、『黄色のシャツを来ている女性』と設定すれば、自動で画像を解析して追跡することが可能です。マスクの着用や距離などの設定もできますし、セキュリティシステムに近いですね。すでに採用した会社はありますが、高価格帯のAIの製品ですから、たくさんあるカメラの中から何をどう見たらいいのかを把握する必要があります。それを教えてくれるソリューションも導入され始めました」

ユーザーに合わせてソリューションを提供する

3つ目は、ヤギを飼育している畜産会社の事例です。この会社では、フランスの会社の製品をタイの代理店を通して導入しています。タイの農業というとAIやIoTとは無縁であるかのようなイメージがありますが、このシステムを使うことで畜産工場ではヤギに最適な水や湿度などを自動で管理しているのです。

「全員がIoT化を進めるというのは現実的には無理ですから、やれるところから使いやすいものを使っていくのが大事。あまり知識や技術がない方にも使ってもらえるよう、ユーザーに合わせてソリューションを提供するのがIoT化には欠かせません」

このフランスの会社の製品はコンドミニアムにも採用されています。

ユーザーに合わせてソリューションを提供する

「タイのデベロッパーといっしょにコンドミニアムにセンサーをつけて、湿度や温度、人口密度、滞留状況などを確認しています。PM2.5など室内の空気をモニタリングし、アラートを出したり、プールの水質を測定するセンサーもありますよ。センサーを変えれば何でもモニタリングできるわけです。ソフト面もハード面もセットで提供できるのがこの会社の持ち味。タイの会社も多方面に提案に行くことができますからね」

海外からの輸入品の事例が続きましたが、タイで独自の製品を開発すべく同協会では大学と連携し、ソフト・ハードの両面からサポートしています。協会会員の10%がお金を出し合って、セキュリティ、健康、食品関係など多岐にわたってIoTの開発を推進しているといいますから、近い将来、多彩なタイ初のIoTシステムが登場し、タイの生活シーンを変えていくかもしれません。

■まずはタイの会社と接点を持とう

Mekmok氏の具体的なお話を受けて、参加者からはたくさんの質問が寄せられました。その中から主なものをピックアップしましょう。

まずはタイの会社と接点を持とう

まず最初に届いたのは、タイのIoTの浸透度合いや期待度に関する質問です。はたしてどれくらい浸透し、どんな製品が期待されているのでしょう。

「製造業においてIoTを活用しているのはだいたい10%ぐらいでしょうか。PLC(シーケンサ)から出た情報を活用しているところはまだ少ないです。アプリへの期待としては、生産性を上げる、歩留まりを向上させる、アウトプットを高める、コストを下げるといったPLに反映するアプリが望まれていますね。従業員の熟練度を可視化できるとアプリもあるといいでしょう。製造業がIoTを活用する事例は多く、かなり一般的になってきていますが、特に注目度が高いのはOEE(Overall Equipment Effectiveness=総合設備効率)。タイは農業国ですから、農業のデータを活用したソリューションへの注目度も高いです」

どのようにしてタイ国内で販売していくべきか。パッケージがいいのか、カスタマイズの余地がある製品が向いているのか。そうした質問も寄せられました。

「カスタマイズかパッケージかはお客さん次第。BtoBではカスタマイズが多いですが、BtoCはパッケージが多いですね。日本の会社の場合、どのようなソリューションを有しているのかが知られてないので、数社で集まってもらい、当協会に提案にいくというのが効果的だと思います。とにかく、どう売ったらいいのかについてはまずタイの人に相談をして、タイの会社と接点を持ってみてください。日本の会社にはチャンスがたくさんありますよ」

タイにおける日本企業のポテンシャルを強調した後、最後にMekmok氏はこう付け加えました。

「日本の企業はIoTの経験値が高いです。これから経済発展した先にはどのような問題が起き、どのようなソリューションが必要になるのかということも私たちにもぜひ教えていただきたいと思います」

IoTに関する日本企業への期待の高さと可能性が感じられたMekmok氏のお話でした。タイのIoT化はこれからが本番。ぜひ日本の企業には自社の強みを活かしてチャンスをつかんでいただきたいと思います。

これからも、皆さまのご意見やご希望を踏まえて、さらに充実した内容のウェビナーを企画してまいります。今後もMeeit.bizの取り組みにぜひご期待ください。

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