2021.11.26

【セミナー開催レポート】2021年10月20日(水)開催 タイ人を知る〜日本人駐在員の「なぜ」に答える

Meeit.bizが送る日本人向けセミナー。今回のテーマは「タイ人を知る〜日本人駐在員の『なぜ』に答える」。なぜタイ人は自ら考えて行動しないのか、なぜタイ人は転職を繰り返すのか。タイで働く日本人駐在員なら誰しも心当たりがある疑問ではないでしょうか。今回は、日本で長く働き日本企業や日本人ビジネスパーソンの特徴や考え方を熟知するMediatorの代表、ガンタトーン氏がタイ人と働く上で知っておきたい価値観やビジネス文化に迫り、参加者からの質問にその場で回答しました。ぜひ明日からの経営にご活用ください。

|タイ人のパフォーマンスを引き出す9つのファクター

ガンタトーン氏はまず、会社が弱いときは共通点があると指摘します。

「チームに問題が多いときには必ず社員の信頼が弱くなっています。では信頼を取り戻すにはどうするか。コミュニケーション以外にありません。コミュニケーションをすると、次にリレーションが生まれる。関係性ができたら、トラストが次に生まれます。トラストが弱いときにはさかのぼって良い関係性を作らなければなりません。つまり良いコミュニケーションを図るしかないのです。また、日本とタイのカルチャーの違いも知ってください。良いコミュニケーションのためには、お互いが置かれている環境や何を優先している、なぜ働いているのかを理解することが欠かせません」

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そして、ガンタトーン氏はタイ人のパフォーマンスを引き出すための9つのファクターを挙げました。ゴール(人生の最終的なゴール)、アティテュード(真面目か不真面目か)、スペシフィケーション(70/20/10のルール)、カンパニー(会社のブランド)、JD(ジョブディスクリプション)、サラリー(給料報酬)、コンビネーション(お客さん・社内の人間)、コミュニケーション(上司・社内)、トレーニング(成長)の9つです(3番目の「70/20/10のルール」とは、人材が成長するために役立つものは70%が経験、20%が薫陶、10%が研修であることを示した法則)。

次に、ガンタトーン氏はタイ人を深く知るための情報を提供しました。タイには2つの国があり、バンコクとその他の地方とでは大きく価値観やライフスタイルが異なること。タイの豊かな自然がタイ人の価値観をつくり、タイ人の人生における優先順位は、体、心、人間関係、それから経済であること。そして、タイは厳然たる階層社会であり、日本とタイとでは物価におおよそ10倍の差があることも付け加えました。

さらに、タイにおいてジョブホッピングは当たり前であり、いかに働いてもらいたいと思ってもらえるかを追求する必要性を語りました。リーダー像についてもこう話します。

「タイ人が求めるリーダーはボスではなく、リーダー。仕事だけの管理にとどまらず、メンタルマネジメントも重要です。本人の面倒を見ること、人生の面倒、せめて話を聞くことが大事です。役職による力ではなく、人間力による力を意識してほしいと思います。パーソナルパワーで接した方がタイ人はパフォーマンスを発揮します」

|具体的な質問にお答えしました

最後に、参加者からたくさんの質問が寄せられました。それぞれの質問へのガンタトーン氏の回答を紹介します。

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Q タイ人に愛社精神を持ってもらうにはどうしたらいいか

「会社が変われば会社を愛してくれます。道路沿いに看板を出したり、通勤用のジャンパーに会社名を入れて配布するのも有効ですね。誇りを持って着用してくれます」

Q 年上のタイ人にはどのように接すればいいのか

「日本人の年上の人と同じように接しましょう。仕事としては自分ができることはないかと聞くと良い関係を作れると思います」

Q 設定した期限に対して意識が低いことが気になる。

「ちょくちょく聞くことです。報告させる癖をつけること。ただし、本人が納得しないと効果がないので、なぜ報告したほうがいいのかを示すこと。難しいがやりようはあると思います」

Q タイ人間で派閥をつくり、いつも難癖をつけあって喧嘩をしている。

「日本人が敵になれば派閥同士がくっつきます。(笑)あとは、日本人が中立的な立場でそれぞれの話をよく聞いて、解決したいと思うがどうしたらいいかといって意見をもらうこと。半年ほどかかりますが、解決はできるはずです」

Q チームに加わった新卒のタイ人はとても意識が高く優秀だが、まだ仕事がわかっていない。自分の意見や考えが通らないことにたいしてモチベーションが下がらないかと心配。

「タイ人はモチベーションが下がりやすいので、良いフィードバックをして、こまめに会話すること。上には評価されなくても私は評価していると口にするのが一番です。『さっきのよかったよ』と褒めましょう。なお、人前で悪い話をするのはタブー。叱るのは別のところでやるべきです」

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Q 自発的に業務を改善したり工夫したりしてもらうためにはどんな働きかけが必要か。

「難しいですが、失敗をさせること。そして、失敗してもカバーできることが大切。単に『これはだめ』というのは避けてください」

Q ワークフロムホームをタイ人はどう思っているのか

「家族と過ごす時間が増えていいと思う人は多いです。無理に出社しろといったら3割がやめるでしょう」

Q タイ人従業同士の距離感をどう取ればいいか

「近すぎるとなめられてしまいます。仲間同士で、家族のこともわかるという程度の距離感がいいでしょう」

Q タイ人に自分の担当業務に関する向上心を持たせるための効果的な方法はあるか。

「褒めること。タイ人は自主的に向上心を持つことは少ないです」

Q タイ人スタッフのモチベーションアップの方法は。

「研修を受けてもらうのは効果的な方法です。ただし、マネージャーになりたい人ばかりではないので、意思を確認してください」

Q タイ人は仕事に関してお金とやりがいのどちらを重視しているのか。

「世代によって異なります。若い20代は変わってきていて、やりがいを求めて自由にやりたいと思う人が増えています」

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Q タイ人が言われてうれしいこと、嫌なことは何か。

「人の前で欠点などを言うのはタブー。モチベーションが低下します。感情は何も解決しません。うれしいのは褒めることです」

Q 中の悪いタイ人課長同士を仲直りさせる方法はあるか

「共通の敵を作るとお互いが協力します。急に悪くなったわけではないと思いますが、必要があれば手を組むと思います」

Q ミャンマーやラオスなど他国の人をいやがると聞くが、その背景は何か。

「欧米がアジアを見下すのと同じです。発展していない国の人といっしょに仕事をすると、処理能力を低くて面倒だと思ってしまう傾向がありますね」

Q 公私混同するタイ人管理職の部下に対する不公平を解決したい。

「日本人上司がはっきり伝えること。会社としてこうやりたいと、個別でも全体でも方針を述べることです。それから、評価の項目をもっと細かくし、評価したものをさらに第三者が見て、ダブル・トリプルチェックをすると正当な評価ができてくるはずです」

Q 経営の現地化を進める注意点があれば教えてください。

「現地でMDらしいことを2年ぐらいやらせるといいでしょう。アクティングMDです。できたらMDにしましょう。その人に意思があるのかを確認した上でやらせてみては」

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Q ワンマンな社長の意向や指示待ち体制から抜け出せないタイ人をどうしたら提案型に変えられるか。

「提案しなくなったのは過去にやっても聞いてくれなかった経緯があって、それで考えるのをやめようとなったのではないか。提案したものを否定しないことが大事です」

Q 給与や賞与でスタッフのモチベーションを維持できるのか。他に方法はないのか。

「3分の1は給与や賞与ですが、本当のモチベーションは彼らのゴールと会社のゴールが合致しているかどうかです」

Q タイ人社員では男性は女性に対してあまり強く支持したり注意したりしないのはなぜか。

「それは国民性です。女性に対する質問が多いのは日本企業ならではですが、一般に女性の方が良い意味で細かくて厳しいですね」

Q 末永く働いてもらうコツはありますか。

「会社が良いリレーションシップを築いて、良い職場環境を作ればやめません」

Q タイ人は相手にわかるように文章を書いたり資料を作ったりするのが不得手のように感じるがなぜか。

「タイ人は資料づくりが不得意。それには学校の教育も関係しています。教師ができていないので教えようがない。会社で鍛え直すしかありません。僕の会社もそうしています」

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Q 日系企業に会社経営、工場経営を任せられるような優秀なタイ人は就職するか。

「就職しますが、実態としては日系企業はあまり選ばれていません。方法としては、40代後半でGMを経験している人を引き抜くとか、ヘッドハンティングをしてタイ人経営者を見つけること。ただし、日本の会社を経営するには、経験として日本の会社で働いたタイ人でないと100%無理です」

Q 役職なしの一般社員レベルから昇進させたいが、本人が望まない。

「本人の意思もあるし、遠慮していわないということもあるので、ダブルチェックした方がいい。あいつはどうかと周りに聞くのも大事です。彼らの人生なので、昇進するかどうか選ぶ権利があることは知ってください」

Q どうなると会社をやめて、どうなるとやめないのか

「人の前で大きい声で叱るとすぐにやめます。やめさせたいときには効果的です。逆に自己成長できると実感できて、安定しているとやめません。いまはコロナだからやめませんが、だからこそこの期間にタイ人を大事にするといいでしょう。コロナ後も辞めなくなると思います」

Q ろくに教育されず、自分でできる方法を模索していまに至っているという日本人は多い。勝手に育つということはタイでもあるのか。

「日本人は子どもの頃からいろいろ考えせられています。タイの場合、覚えることしか教育を受けていないので、自分で考えて育つのは難しいかもしれません」

最後に、ガンタトーン氏は9つのファクターの重要性をもう一度解説しました。

「ゴールについては、スタッフが背負っているものを家庭環境やローンなども含めて必ず聞いてください。これは失礼なことではありません。むしろ、興味を持ってくれてありがとうと言われます。アティテュード(態度)については、真面目な人であればたとえ失敗しても信じてあげてほしい。会社は人を信じないと育ちません。スペシフィケーションについては、そもそも会社にあっているかどうかを確認することですね。会社のブランドを築き、タイ人に知ってもらえるようにPRすることも重要です。また、ジョブディスクリプションが明確かどうか、欧米やタイの会社と比較して給与がふさわしいかどうかも要チェックです。コンビネーション、つまりいまの部署の人とどうなっているのかも把握しましょう。無理な場合は異動させることです。さらに、コミュニケーションがじゅうぶんにとれているか、自己成長できる環境を提供しているかどうかも確認してみてください。3段階で各ファクターをチェックするとわかりやすいです」

最後にガンタトーン氏はすぐに改善できるヒントを挙げました。

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「毎日3分だけでいいから、仕事ではなく本人の話をしてください。親、子ども、これらについて話すだけで1.5倍のやる気が感じられるはずです。物理の法則通りで必ず返ってきますよ。日本にも同様の内容を記した『3分間コーチ』という本があります。タイ人も日本人も同じなのです」

タイ人の価値観、考え方、日本人との違いを踏まえた上でコミュニケーションを図り、歩み寄る努力がいかに重要であるかが理解できる内容でした。具体的な質問に対するガンタトーン氏の速攻での回答も参考になったという方は多いのではないでしょうか。

これからも、皆さまのご意見やご希望を踏まえて、さらに充実した内容のウェビナーを企画していきます。今後のMeeit.bizの取り組みにぜひご期待ください。

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